いつものIPAと比べるとホップを大量に使うスタイル。香り、味わい、そして余韻まで力強いパンチが広がるが、おだやかでスッキリとした表情もあわせ持つ。飲むほどにゆったり落ち着く資質は、堂々と存在する「SHOGUN」そのもの。熟成をかける楽しみも広がるインペリアルIPA。
- スタイル : インペリアルIPA
- モルト :マリスオッター、カラメルヘル
- ホップ :センテニアル、カスケード、モザイク
- ABV : 8.0%
- IBU : 72
- SRM:7
- 容量: 350ml
SHOGUNショートショート
「鬼」
公園にサチを遊びに連れて行くと、保育園の同期シュンくんが姉のアカリちゃんと遊びに来ていた。サチはすぐにシュンくん達の所に走っていく。
僕は、ベンチに座っていたシュンくんパパの横に座った。
「なんかありました?」
「えっ...」
いきなりシュンくんパパに訊かれて戸惑った。
なんで分かるのかーー。
シュンくんパパは僕より10も上の40歳。人生の大先輩だから?
歳下の僕にも偉ぶることはなく、いつも穏やかな人柄で、大の仲良しだったこともあり、どんよりした心の内を話すことにした。
「実は、会社で班長になったんですけど、なかなか上手くメンバーをまとめられなくて...。陰では、効率の鬼って呼ばれてるみたいで、凹んでます」
ガクリと首を下げると、シュンくんパパがハハッと笑った。
「よくあることですよ。奥さんと上手くいってない、とかじゃなくて良かった」
「リーダー不適格なんだと思います」
「そんなことはないですよ」と、ベンチャー経営者のシュンくんパパは自分の体験を話してくれた。実は一社目はメンバーと上手くいかなくなり潰れたこと、リーダーシップに悩み続けたこと。
「でも、結局、アカリに教えられたんです」
驚きながら、子供達に視線を移す。
「ほら、弟たちを上手く促して、上手に遊んでるでしょ。周りの子達だって上手に巻き込んでる。順番を守るルールだって教えてる」
確かに、アカリちゃんは、公園を統率する将軍のように子供達をまとめきっていた。そして、みんな笑顔。
「アカリはただ楽しもうとしてるだけなんですよ。自分も含めて、みんなでね」
何かが腹の底に落ちた気がした。
シュンくんパパは、僕の顔を見て微笑むと、それ以上言わなかった。
「ねぇ、鬼ごっこやるから、パパ達、鬼になって!」
子供達が誘いにきた。
「よーし、食べちゃうぞー」
シュンくんパパはすかさず立ち上がり、子供達がキャーキャーと嬌声を上げ始める。
今日も鬼になるかーー。
ただ、立ち上がった僕の体は、どこまでも走れそうなくらい軽かった。