OGA BREWINGでは毎春、大切なスタッフの門出に向けて「卒業ビール」を醸造しています。2026年、モルティなテイストが好みのチームICUが取り組んだのは、「OGAのもう1つの定番になるビール」。生まれたのは、麦の甘みとクリアな酸味、2つの主題がロースト香に包まれる、苦味のないアンバーセゾン。会話がゆっくりと弾むような味わいの変化に、ハマる!?
- スタイル : アンバーセゾン
- モルト : マリスオッター、ウィート、ミュンヘン、カラヘル
- ホップ : カスケード
- ABV : 5.0%
- IBU : 14
- 容量: 350ml
Envolショートショート
「Retour(ルトゥール)」
久しぶりに母校の体育館に入ると、アカリがジャージ姿で待っていた。
十年以上ぶりなのに、アカリは久しぶりとも言わずに、僕にラケットを手渡して、「打とうよ」と、距離をとった。
パン!
小気味いい打音と共に、シャトルが大きく弧を描く。ハイクリア。バドミントンの基本。僕もハイクリアで返す。
「ケント、いま何やってるの?」
「普通のサラリーマン」
ハイクリアを返しながら言葉を交わす。
この高校で、僕とアカリはミックスダブルスのペアを組んでいた。全国レベルの実力。強豪大学に二人で進むつもりだったけど、推薦で入れたのはアカリだけだった。
わかっていた。女子が狙われるミックス。アカリに必要なのはもっとゲームプランを作れる男子ーー。僕は考えすぎて迷う事が多かった。
僕はバドミントンに見切りをつけ、アカリは新しいペアを組み、世界の舞台に羽ばたいて行った。最近、アカリが怪我で引退したと耳にはしていた。
シャトルを交換しながらしばらく近況を聞き合っていると、アカリが唐突に言った。
「バドミントン、またやらない?」
「えっ? 引退するんだろ」
「そう。ここの監督になる」
アカリはシャトルを左手でキャッチすると、僕をジッと見た。
「ケントにコーチを頼みたい」
「いや、もっと上手い奴いるだろ...」
「テクニックだけ教えるわけじゃない。あの時、頑張って、支え合って、一緒に挫折した経験、そういう事が必要なの」
息が止まった。
(一緒に挫折...)
あの時言葉に出来なかったけど、最高のペアとお互い信じていたーー。
「イエスなら、打ち返して」
スマッシュのコースにアカリがシャトルを上げる。本能的に、僕はシャトル目掛けてジャンプしていた。あの時、羽ばたけなかった分、より高く。