立川「春・悠麗ら(はる・ゆらら)」(終売品)

立川「春・悠麗ら(はる・ゆらら)」(終売品)

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中央線の駅ごとのイメージをクラフトビールで表現する「中央線GO WEST」企画の第一弾!今回は「立川」です。
西の繁華街の多様で賑やか、そして昭和記念公園のおおらかで自然の多さももつ立川。
コンセプトは、そんな立川に生きる芯のある女性のイメージです。

スタイル : アメリカンIPA

  • モルト : エール、ハイデルベルク、カラピルス、カラミュンヘン、マリスオッター
  • ホップ : センテニアル、ザーツ、シトラ、シムコー
  • ABV : 6.0%
  • IBU : 42
  • 容量: 330ml
春・悠麗ら(はる・ゆらら) ショートショート
「高嶺の桜」

『桜散る』
そんな言葉で僕の受験は終わった。未来に霧がかかったようで心は晴れない。かと言ってすることもなくなったので近くの公園をぼんやり歩く。桜の開花にはまだ少し早い。でも、これから称賛を浴びるのを待っている桜は僕と違って自信に満ちていた。
「気象庁の方ですか?」
桜の木を茫然と眺める僕に聞き覚えのある優しい声が問いかけた。同級生の悠佳(はるか)さんだ。才色兼備の高嶺の花。悠佳さんと僕が友達なのは学校の七不思議でもある。
「そんなわけないでしょ」
「たそがれてた」
「......」
「あたしも落ちちゃた」
想定外でさらに言葉を失った。悠佳さんは学年トップで合格間違いなしと言われていたからだ。
かける言葉も見つからず、2人して開花を探る気象庁の職員になった。
「また生まれるために......」
不意に僕は呟いた。
ひと呼吸入れて悠佳さんが言葉を引き継ぐ。
「桜は散るんだ」
僕らを仲良くしたお気に入りのバンドの歌詞。
好きだなーー。
今更ながら僕は気づいた。