クラフトビールの圧倒的な王道で、常に流行の最先端を走り続けるスタイル「IPA(アイピーエー)」。2025年春、冒険的な苦味を託して限定醸造。これまで以上に苦味をしっかり感じられる仕上がりです。ひと口目は「苦い!」と抵抗を感じるけれど、また飲みたくなる魅力にハマり、取り憑かれてゆく快感が心地よい! クラフトビールの奥深い世界へ誘う、力強いIPA。
- スタイル : IPA
- モルト : ハイデルベルク
- ホップ :カスケード、センテニアル
- ABV : 7.0%
- SRM:3
- IBU : 64
- 容量: 350ml
ニガミヅキ ショートショート
秘密
「……って感じ」
昨日、仲の良いミクと飲んだのだけど、推しが引退するとかで、ワーワー泣かれ、大変だったという顛末を話した。
なるほどねー、と言いながら、タツヤくんが小鉢をテーブルに置いた。タツヤくんと結婚してもうすぐ三年目になる。
「でもさ。そこまでハマるって、ある意味幸せだよね」
「そうかな?」
「そうだよ。好きなものがあるって生きがいだもん」
そんなもんかな、と思いつつ小鉢を覗くと、トマトにひじきみたいな物が混ざっている。
「これなに?」
「トマトの塩昆布和え。めっちゃ簡単。食べてみ」
ちょっと恐れながらパクリと口に放り込む。
「えっ! 美味しい!」
椅子から飛び上がった。
「だろ?」
タツヤくんが自慢げな顔をした。タツヤくんは料理が上手で、週末はいつも美味しいおつまみを作ってくれる。それを肴にした週末の晩酌は我が家の習慣だ。
「俺たちも何かにハマってみようか?」
考えてみれば二人ともハマり気質ではない。
「私たちは私たちだよ」
「まあね。でも塩昆布にハマりそう」
タツヤくんが笑った。その笑顔を見てたら胸の辺りが暖かくなるのを感じた。
ハマってるーー。
「顔になんかついてる?」
ふとタツヤくんを見つめてしまったことに、「ううん、なにも」と慌てて否定した。そっか、とタツヤくんの感心はまた小鉢に向かった。なぜかホッとする。やっぱり照れくさいし、私がハマっているものは当分秘密にしておこう。