家の縁側やカフェの窓から、静かに落ちる雨を眺めるひと時。しとしと降る雨音のリズムに心が落ち着き、もの想いにふける。そんな時に飲みたいすっきり味のベルジャンホワイト「華あられ」。雨に映える紫陽花ビールです。
- スタイル : ベルジャンホワイト
- モルト : ピルスナー、ウィート
- ホップ : ザーツ
- ABV :5.0%
- SRM:8
- IBU :20
- 容量: 350ml
華あられ ショートショート
「もうひとつの名」
悪いことって重なる。
まず、この朝の忙しい時に、車のエンジンがかからない。そして、車担当の旦那様は海外出張。通信環境が悪い国らしく数日連絡は取りにくいとのことだった。しかも、外は雨。
「はー」
朝からため息。
「ためいきつかない。しあわせにげちゃうよ」
チャイルドシートのマコが笑っていた。テレビCMの真似で、ため息が癖の私に、旦那とともに突っ込むようになったのだ。
ムムッ……。
ひとまず保育園まで歩くことにした。
「ピチ、ピチ……」
わざわざ水たまりを歩いて、マコはお気に入りの長靴で雨を楽しんでいた。子供はいい気なもんだーー。この調子じゃ、いつ保育園に着くことか。遅刻するってメールしないと……。
「あっ、キレイなおハナ!」
マコが指差す先には、一軒家の庭に咲くアジサイがあった。紫色のポンポンのようで確かに綺麗だ。
「ほんとキレイだね」と、ひとまず同意して、足を止めそうになるマコの手を引っ張った。名残惜しそうに後ろを見るマコ。可哀想とは思いつつも心にギュッと力を込める。朝は戦争だーー。
翌朝、いつもより早く身支度をして、マコと保育園に向かった。幸い、昨日の雨が嘘のように、清々しい晴れだ。
「ピチ、ピチ、チャプ、チャプ……」
マコは今日も長靴で楽しそうだ。水たまりはまだ残っている。
「ママ、はなあられって言うんだよ」
昨日のアジサイのところでマコが自慢げに言った。
「はなあられ?」
「そう。せんせーがおしえてくれた」
「へー」と、なんか色々腑に落ちた。
どう見るかで、ため息にも、感嘆にもなるーー。
「キラキラして昨日よりキレイだね」とマコ。
葉についた雨粒が光を反射して、はなあられは輝いていた。
車が壊れたから、雨が降ったから……、出会えたーー。
「さー、行こう」
マコとスキップして、保育園に向かう。
(ピチ、ピチ、チャプ、チャプ、ラン、ラン、ラン