OGAがあたためてきた「ジャパニーズスタイル」の確立への思い。代表の小笠原が酒造りを体験し、搾りたての「板御神酒(酒粕)」と出会い、いよいよ醸造に着手。芳醇な板御神酒を主原料としてふんだんに使った、日本独自のスタイルの誕生だ。フレッシュな酒粕香とホップの苦味のバランスこそ、日本ならでは。クラフトビールにのせて日本文化の魅力を界のブルワーに広めるきっかけになれ!
- スタイル : ジャパニーズスタイル
- モルト :ピルスナー
- ホップ :カスケード
- 副原料:板御神酒(さけ粕)
- ABV :6.0 %
- SRM:3
- IBU : 58
- 容量: 350ml
板御神酒ショートショート
「マイスタイル」
書類選考で落ち続ける就職活動。
いったいあたしの何がわかるのかーー。苛立つ。でも……。自分のことを一番わかってないのは自分じゃない?
気分転換に外でも行くかと、アパートを出ると、隣に荷物を運び込む人。引越しか。新しい隣人と目が合い、ニコリと会釈を交わす。ポーランドからの留学生ニナと私はすぐに仲良くなった。
「マイ、道に置いてある人型の石はなに?」
「人型の石?」
志村けんさんの銅像のことだろうか?
「違う違う。みんなが帽子とか服とか着せて祈ってるやつ」
「あー、お地蔵さんね」
簡単に説明すると、「パワースポットね」と感激し、ニナは毎日、お地蔵さんにお祈りするようになった。街中で神様に会うというのが、カトリックとは随分違う考え方らしい。自分にない視点が面白く、日本を再発見するようだった。バイト先のビアパブに面白いビールがある。紹介することにした。
「これ神様が宿る、新しいスタイルのビール。御神酒っていう文化があってね……」
「すごい!ヨーロッパにはない!」
カトリックのワインも神が宿っているものではないらしい。興奮気味に御神酒ビールを飲み干すと、「なんか力が湧いてきた!」と笑った。
「ニナって好奇心旺盛で、明るくて、可愛くて、良いな……」
順風満帆のニナが急に羨ましくなった。
「なんで? マイにはマイの素敵なとこがある」
人見知りしないし、誰にも親切だし、面白い場所に連れてってくれるし、声が綺麗だし、髪が真っ直ぐだし……。山のように褒めてくれて、顔が熱くなった。
少なくとも、出会いに恵まれる運はある。ねっ、神様ーー。
御神酒ビールをクイっと飲む。神様を味方につけたし、きっと明日は書類選考に通るよ。そう信じた。