三鷹のシンボル「跨線橋」。朝な夕なに表情豊かな空と富士山を望むこの場所に、いよいよ「グッド・バイ」。太宰治を筆頭に心を寄せて通う人が多い古橋よ「ありがとう」。そんな思いを込めて、太宰の故郷・青森県五所川原産のリンゴを使ったフルーツエールを醸造。苦味を抑え甘酸っぱい味わい、すがすがしい余韻に仕上げました。
- スタイル : フルーツエール
- モルト : マリスオッター、ウィート
- ホップ : ザーツ、アマリロ
- ABV : 7.0%
- IBU : 38
- 副原料 : りんご果汁(品種:五所川原産トキ)
- 容量: 330ml
グッド・バイショートショート
「夕焼けにさよなら」
珍しく突然会いたいなんて言うから、胸を弾ませて会いに行った私が恨めしい。右手には、ヒロシを引っ叩いた感触がまだ残っている。
(実は結婚してるんだ)
路線橋から見る夕焼けは大好きだけど、今日は私のように空が泣き腫らしているように見えた。
急に故郷に帰りたくなって、衝動的に夜行バスに乗った。
「もしかして、キョウコ……さん」
聞き覚えのある声がする。
「えっ!? シュウヘイ……くん」
涙目を隠したくて、懐かしいとか、ビックリしたとか、慌てる素振りをする。どうせ眠れないと思っていたけど、その後は2人で青森まで徹夜で話をした。シュウヘイくんは立派なリンゴ農家になっていて、東京の販路開拓のため出張していたのだそうだ。
「こんどリンゴ送らし」
「ありがど」
そして別れ際に言った。
「彼氏いらのか?」
「いねし」
「俺ど同じだ」
サッカー部で輝いていた頃の笑顔そのままでシュウヘイくんは去っていった。最後まで涙の訳を聞かず。
「東京サもこらほど綺麗の夕焼があらんだの」
東京に出張してきたシュウヘイくんと路線橋に来ていた。リンゴを送ってもらったお礼という訳ではないけれど。シュウヘイくんと高校時代に一緒に見た夕焼けにそっくりだ。
(グッドバイ)
新しい明日のために、私は胸の中で呟いた。