INDIE(ボトル)

INDIE(ボトル)

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モルティで芳醇、独特の香ばしい穀物感、一瞬ドライ、一瞬なめらか、余韻は想像以上にライトなスコティッシュ・エール。王道を進まず流されず個性をまとって歩む人生に、乾杯。
  • スタイル : スコッチエール
  • モルト : エール、マリスオッター、カラミュンヘン、大麦
  • ホップ : チヌーク、ザーツ、アマリロ
  • ABV : 5.0
  • IBU : 25
  • 容量: 330ml
INDIE ショート ショート
ゼンナの味」
一年前に隠居した親父が初めて俺の寿司を食べに来た。
「なんで食べに来ない?」
「お前に譲った店だ。何か言いたくない」
背中で語る人だった。
「なんで今?」
理由は察していた。
「冥土の土産に」
「バカ言うな」
お袋から今度検査で入院する、癌かもしれないと聞いていた。
最後に煮蛤を出す。
親父が目を丸くした。
親父のおはこ。だからこそ、作り方を教えてくれなかった。手間がかかり今では出さない寿司屋も多い。でも、こいつが無くなって、常連も離れていった。だから、試行錯誤で復活させた。
パクリと頬張ると親父は険しい顔をし、数回モゴモゴと口を動かすと目を細めた。
「柚子だな」
一点加えた俺の独創に親父が気付く。
「ゼンナって言ってな、蛤の子は銭にならないって言うんだ」
なんの話?
「でも、ゼンナも美味いんだよ」
そう言うと、「ご馳走さん」と親父は暖簾を潜った。
「絶対また来いよ」と声をかけると、親父はサムズアップを返した
背中越しに。